家族との時間を多く持てるようになった

行田市在住/佐藤さん

2016年に神奈川県横浜市から、行田市に引っ越してきた佐藤健(たける)さん一家。6歳と3歳のこどもがいる4人家族だ。埼玉県は妻の出身地でもある。看護師の佐藤さんは、自宅から近い病院への転職も決まり、ますます家族と一緒に過ごす時間が増えることを楽しみにしている。

妻の両親に子育ての協力をしてもらえることが決め手

山形県出身の佐藤健さんと、埼玉県深谷市出身の奥様は、上の子どもが小学校に入学する前に引っ越しすることを決め、2016年12月に神奈川県から行田市に移住した。2番目の子どもが病院に通院していたこともあり、行田市だと、深谷に住む妻の両親に、子育てに協力してもらえるという利点があった。また同じ年頃の子どもを持つ妻の友人も近くにいたため、一緒に遊ばせられることも埼玉への移住の決め手になった。

佐藤さん夫婦は、埼玉県内の物件をいくつか見て回り、住宅街で、小学校も近く、子どもが安全に過ごせる場所ということで見つけたのが現在の行田市の土地だった。横浜市は地価が高いが、行田市では土地付きの注文住宅を建てることができた。

家計の支出が下がり、奥様は家事に専念

横浜市に住んでいたときと比べて、ショッピングに行っても駐車場代がかからないことが有難いという。「神奈川だと800円ほどかかりましたが、ここではどの店でも無料で車を止められます」。横浜市のときは勤務する病院にバイクで通っていた佐藤さんだったが、移住をきっかけに伊奈町の系列病院に異動。現在は、片道50分かけて車で通っている。家に駐車スペースがあるので、もちろん駐車場代は不要だ。

それだけではない。「野菜は神奈川に比べて安いので、全体的に食費は下がっていますね」と奥様。行田市に移住したことで家計の支出が抑えられ、奥様が仕事を辞めても、佐藤さん一人の収入で生活できるようになったことだ。そのお陰で、奥様は家事と子育てに専念している。

行田市の定住促進奨励金が引っ越し費用に役立った

行田市では、子育て世代が同市に移住した場合、奨励金がもらえる「行田市子育て世帯定住促進奨励金」制度がある。佐藤さんも家を建ててから家の図面を持って市役所に申請をして、市内の決まった店で使える商品券10万円分と現金10万円をもらった。「市内の決まった店という制限がありますが、大型スーパーでも使えるので便利でした」と奥様。佐藤さんも「市から奨励金をもらえたことで、家具や電気製品の購入の一部に当てられたのは良かった」と語る。

埼玉県では、18歳に達して次の3月31日を迎えるまでの子どもを持つ世帯や妊婦を対象に、「パパ・ママ応援ショップ優待カード」を、居住地の市町村で発行している。パパ・ママ応援ショップ協賛のステッカーやポスターの貼ってある店で、各店独自の特典が受けられるというもの。佐藤さん一家はよく利用しており、「カードが使えるお店がもっと増えるといいな」と望んでいるそう。

町内の人たちとのかかわりを大切にする

佐藤さんの家の周辺には子どものいる家庭が少なく、比較的、年齢層の高い、子育ての終わった人たちが多く暮らす地区である。そのため、子どもが外にいると、声をかけてくれたりして地域で子どもたちを見守ってくれると佐藤さんは安心する。また横浜に住んでいたときとは違い、家の前の交通量も少ないため、安心して子どもが外で遊ぶことができるようになったという。

引っ越してからまだ1年ちょっとの佐藤さんは、来年度から自治会長を務める。「分からないことがあれば町内の方々に教えていただこうと思っています」。自治会の仕事を通して、町内との交流を図れることを楽しみにしている。

レジャー施設や祭りに家族で出かける

「とにかく趣味が多いんです」と奥様が語るように、佐藤さんの趣味はバイク、ゴルフ、登山、釣り、カメラ、フットサル、自転車、…と多岐にわたる。神奈川に住んでいる時は通勤でしか乗らなかったバイクは、今では気分転換にツーリングを楽しむ趣味の一環になった。現在は、家族との時間を大切にしている佐藤さん。職場も自宅から約2km 以内の総合病院への転職が決まった。不規則な勤務時間であるが、職場が近くなったことで、家族と過ごす時間も多くなる。

佐藤さん夫婦は、休みの日に家族でハイキングに出かけたりするのを楽しみにしている。森林公園やくまがやドーム、秩父など市内外の公園や観光地に出かけている。「車の中で、スマホで観光情報を見つけて、その日のうちに行くこともあるんです。この前は、秩父夜祭(毎年12月2~3日に秩父神社で行われる日本三大曳山祭りの一つ。2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された)に行ってきました」と、埼玉生活を満喫する。

移住を考えている方たちへ

病気の子どもを抱える佐藤さんの奥様は、「市役所の担当の人たちが臨機応変に親切に対応してくれたことが有難かったですね。何でも聞くと丁寧に教えてくれました」と話す。そして「市役所での手続きでは、分からないことがあったら何でも聞くことが必要です」とアドバイスしてくれた。

地域とのコミュニケーションも欠かせない。自治会長という大役を引っ越してきたばかりで引き受けたのも、地域とのかかわりが大切だと考えたからだ。

埼玉へ移住した感想をたずねると、「ここに越してきて本当に良かったと思います。横浜にいたら、庭付きの注文住宅なんて建てられませんでしたから」と、笑顔で答えてくれた。

埼玉には、さいたま市のような大きな都市もあるが、郊外はまだまだ自然にあふれていて、森林公園や所沢航空記念公園、くまがやドームといったレジャー施設がたくさんある。東京にも近いため、将来都内の大学へ進学した場合は自宅からの通学も可能だ。特に子育て世代には住みやすい環境である。